ARTICLE NUM:022

歯科衛生士/寺山 久留実さん

コミュニケーションを大切に、
患者さんの声にきちんと耳を傾けたい。

DR+DH+DT WORK STYLE|2024.09.30

——最初に、寺山さんの普段のお仕事内容を教えてください。

寺山さん(以下T):主に一般歯科診療のアシストと、インプラントのオペのアシスト、予防業務としてお口の中のクリーニングや定期検診、歯周病の治療、唾液検査などをやっています。インプラントのアシストは2年目ぐらいからつかせていただいているので、今は滞りなくできるようになっているかなと思います。あと、歯ぎしりや噛みしめで歯が悪くなってしまった方に、全身のバランスを見ながら、どういう状態がいいのかお伝えするといったことも仕事のひとつです。

——「全身のバランスを見る」というのは、どういうことでしょうか。整体のようなことですか?

T:それに近いような感じですね。身体が左右どちらに傾いているかが分かると、普段どちら側の歯で噛んでいるかが分かるんです。

——片側の歯に負担がかかるようだとよくないんですね。力を入れるときに歯を食いしばることがありますけど、それも歯にとってはよくないんでしょうか?

T:食いしばりみたいに、食事以外のときに上の歯と下の歯が接していると、歯の組織にとって負担になるのであまりよくないですね。口は閉じた状態で、上の歯と下の歯は離して、舌が上顎についている状態がベースのポジションです。

——そうなんですね、勉強になります。

 

「歯科衛生士は、患者さんの全身の健康にたずさわる素敵な仕事」

——寺山さんはどうして歯科衛生士になろうと思ったんですか?

T:学生時代にバスケットボールをやっていて、理学療法士さんにずっとお世話になっていたんです。それで「医療系の道に進もうかな」とは当時からぼんやり思っていました。

——医療の仕事を身近に感じていたんですね。

T:それからいろいろ調べていく中で、お口の中の健康が全身とつながっていることを知って。痛みがあるときだけじゃなく、一生を通じて全身の健康に関われるっていうところで「歯科衛生士って素敵な職業だな」と感じました。

——お勤め先として、こちらの歯科クリニックを選んだのは何か理由がありますか?

T:大学時代の実習で、訪問歯科診療に興味が湧いたんです。私も訪問診療に携わってみたいなと思って、訪問診療をやっている当院を志望しました。実際に希望が通って、2年目ぐらいから診療に行かせていただいています。

——新人だった頃のことは覚えていますか?

T:大学時代はコロナの影響で実習期間がすごく短かったんです。だから知識はあっても実習の経験が少なくて、どこまでできるか心配で入ってきたんです。でも先輩たちが丁寧に教えてくださったので、安心してできました。

——同じように、今は寺山さんから後輩へ指導したり声かけをしたりすることもあるんでしょうか。

T:そうですね。私自身、最初の頃はできないことがあると気持ちが落ちてしまっていたんですけど、後輩はそういうことがないように、声がけをしています。

「歯科に対するマイナスのイメージがなくなるように、コミュニケーションを円滑に」

——職場の働きやすさについてはどう感じていますか?

T:仕事をする上でいちばん気になるのは人間関係だと思うんですけど、うちは笑顔のたえない明るい職場でとても働きやすいです。それに診療を滞りなく進める上では、診療内でも診療以外でも、職種関係なくスタッフ同士のコミュニケーションが必要になってきます。だからみんなの共通認識として、コミュニケーションが大事だ、っていう考えは常にありますね。

——スタッフ同士で誕生日をお祝いする習慣もあるそうですね。

T:私も入社してから知って、すごくびっくりしました。そういう職場ってなかなかないと思います。もともと、感謝の気持ちを伝える場としてはじまったそうですよ。

——患者さんとコミュニケーションを取るときに特に心がけていることはありますか?

T:丁寧な処置をすることと、患者さんのお話をよく聞くことを心がけています。歯科クリニックって、不安なことがあって来院されている方が多いと思うので、これから行う治療のこと、来院するまでの経緯、治療に対する気持ちをお聞きして、患者さんの歯科に対するマイナスのイメージがなくなるようなコミュニケーションを心がけています。

——新人時代と比べて、コミュニケーション能力はどうですか?

T:恥ずかしいことに、最初は受け答えもままならないくらいコミュニケーションが苦手だったんですけど、先輩の姿を見たりするうちに、患者さんへの接し方をだんだん学んでいきました。今でも迷うことはあるんですけど、昔よりは、いろんな方とスムーズにコミュニケーションが取れるようになってきたかなと思います。

 

「楽しかった学生時代。今しかできないことを大事にしよう」

——今はどんなときにお仕事のやりがいを感じますか?

T:患者さんから直接感謝の言葉をいただけたときですね。あとは、治療で悩んでいる患者さんに対して、先輩からのアドバイスをもとに対応して、悩みを解決できたときにはやりがいを感じます。

——逆に、悩みやもっとこうしたいと思っている部分があったら教えてください。

T:歯周病の治療で歯石取りとかは特に技術面が大切になるんですけど、私はその部分でまだ技術不足を感じていて。でも今はセミナーなどにも積極的に行かせてもらっているので、早く技術を身につけて解決できるようにしたいと思っています。

——歯科の学びをはじめた学生時代を思い返して、どんなことが記憶に残っていますか?

T:楽しかったですよ。歯科衛生士って男性もなれるんですけどほとんどが女子だったので、私は女子だけの学校って行ったことがなくて、そういう環境って今までなかったので、実習とかも楽しかったですし、バレンタインやイベントごとに友達同士で盛り上がれるのがとても楽しかったです。みんなそれぞれお菓子を作ってきて交換、とかやっていましたね。

——楽しそうですね! 最後に、歯科衛生士を目指す高校生へのアドバイスをお願いします。

T:歯科衛生士の勉強って、大学だったり専門学校だったり、通いはじめてからみんな一斉にスタートするところなので、それに向けて事前に何かをするというよりも、高校生活を充実させてほしいなって思います。高校時代にしか学べないこと、経験できないことって、けっこうあるんじゃないかと思うんです。大学に行って実習が入ってくると、勉強しながら実習のレポートも書いたりしないといけなかったりとても忙しくなるので、今の高校生活を楽しむことが、ひとつ大事なことなんじゃないかなって思います。

——たしかに、今楽しめることを思いきり楽しむって大事ですよね。今日はありがとうございました!

DR+DH+DT WORK STYLE

いいじま歯科クリニック

寺山 久留実(Kurumi TERAYAMA)

2021年日本歯科大学新潟短期大学歯科衛生学科卒業 、いいじま歯科クリニック入社。 現在、診療全般に携わり、インプラントオペのアシストや訪問診療で口腔ケアを行っている。

インタビュー収録:2024年8月