ARTICLE NUM:026
歯科医師/佐久間 要さん
臨床・研究・教育すべてを支え、
大学病院から歯科の世界に貢献する。
——まずは、先生の今のお仕事について教えてください。
佐久間先生(以下S):大学ですので「臨床」と「研究」と「教育」の3つ、それぞれまんべんなく取り組んでいます。今は新潟生命歯学部の4年生学年副主任もさせていただいているので、教育への関わりは大きいですし、臨床については、口腔外科の手術が大事な仕事のひとつになります。
——研究についても、具体的にどんな研究をされているかお聞きしていいですか?
S:大学院のときから、私は口腔がんの感受性について研究しています。どのくらい抗がん剤が効くのかという基礎的なところから、実際の臨床の現場での効果など、いろいろ調べています。
——ということは手術も口腔がんに関わるものが多いのでしょうか。
S:もちろん口腔がんの手術もします。でも、患者さんに応じて、親知らず歯の手術だったり、幅広くいろいろな手術を行っています。ときには学生が見学する手術もありますし、医局の若手の指導役として、一緒に立ち会って行うものもあります。
——なるほど、大学病院だからこそお仕事の内容も広範囲に多岐に渡るわけですね。ところで先生が「口腔外科」を選んだのはどうしてですか?
S:大学じゃないとできないような、専門性があるところが決め手でしたね。私は5年生のときに、病院実習でいろいろな科を見て、「口腔外科をやってみたいな」って思ったんです。

「臨床、研究、教育。どれも自分にとっては欠かせないものだと思います」
——佐久間先生が「歯科医師になろう」と決めたのはいつですか?
S:高校2年生のときですね。両親は歯の仕事ではなかったんですが、親戚に歯科医師が多くて。自然と「歯科の道を進むのかな」と思うようになっていました。
——学生時代の思い出があったら教えてください。
S:そうですね、休みのときに同期と遊びに行ったり、旅行をしたり。楽しかったですね。勉強も「この知識を使って将来仕事をするんだ」って考えていたので、思ったよりも楽しめました。国家試験前に、友達とみんなで自習室にこもって一生懸命に勉強したのもいい思い出です。
——臨床、研究、教育と、いろんな角度から口腔外科のお仕事をされていますが、今はどのお仕事がいちばん好きですか?
S:好きというより、注力するものが年を重ねることに変化してきていると思います。若いときは親知らず歯を抜いたり、手術をしたりするのが面白くてしかたなかったですし、ちょっと経験を積んでいくと、今度は研究も楽しくなってきて。そしたら次は、研究したことを「学生に伝えていかなきゃ」って意識が変わって、教育にも深く関わって。でも、軸にあるのは臨床だと思います。臨床をしなければ、教育もできないですし、臨床で気になったことを研究して、それをまた臨床の場で活かすこともあるので、臨床も研究も教育も、どれも自分にとっては欠かせないものだと思います。


「歯科医師の仕事には、いろんな道があることを知ってほしい」
——臨床の場で、患者さんと接するとき大事にしていることはありますか?
S:患者さんご本人はもちろんですけど、ご家族であったり、患者さんに関わる周囲の人のこともよく見るようにしています。例えば、がんの患者さんだと、術後に後遺症が残った場合、ご家族の支えが必要になることもありますし、お仕事に復帰できるかどうかも考えなければいけません。
——目の前の口腔内の症状だけではなく、患者さんの日常の生活まで意識されるんですね。
S:糖尿病や高血圧、いろんな疾患を持っている患者さんに対して、どう治療するか、薬の量をどう調整するかを考えるので、当然、お口の中だけではなく、全身のことも気にしながら治療していきます。この点は特に、口腔外科ならではだと思いますね。


——今、お仕事をしている中で、どんなときにやりがいを感じますか?
S:臨床では、やっぱり手術後に患者さんやご家族から感謝を伝えられたときですね。手術前は緊張しますし、手術のことばかりを考えながら生活することもあるので、無事に成功した後はすごく嬉しいです。教育の仕事では、自分が教えてきた学生が、自分でちゃんと意見を持って、しっかりと治療を進めていく姿を見たとき、嬉しくなりますね。あとは、歯科の知識や技術が日々大きく変化し続けている中で、少しでも世の中の役に立つような、臨床に応用していける研究を進められたらなと思います。
——最後に、これから歯科医師を目指す高校生にアドバイスをお願いします。
S:歯科医師はまだ「歯を削る仕事」っていうイメージが強いかもしれないですが、実際はそれ以外にも、いろんな道があるんです。病院の中でも口腔外科や矯正みたいに科がたくさんありますし、大学に残って研究者として新しいことを突き詰めていく道もあれば、例えば行政で働くなんていう選択肢もあります。ひとくちに「歯科医師」といっても、いろんな道があることを、大学に入って知ってもらえたら嬉しいですね。
——今日は貴重なお話をありがとうございました!

DR+DH+DT WORK STYLE
日本歯科大学新潟病院
佐久間 要(Kaname SAKUMA)
日本歯科大学新潟生命歯学部卒業後、同大学大学院歯学研究科を修了し、博士(歯学)取得。現在准教授として同大学新潟生命歯学部口腔外科学講座勤務。(公社)日本口腔外科学会 専門医・指導医、日本がん治療認定医機構 認定医(歯科口腔外科)、日本口腔腫瘍学会 口腔がん専門医・指導医。
インタビュー収録:2025年11月