歯科を知る LECTURE

知ってる? 歯の二大疾患。

むし歯 Caries

口の中にいる細菌が、食べ物や飲み物に含まれる糖分を餌にして作り出す「酸」によって歯が溶け、穴があいてしまう状態を「むし歯」といいます(C1)。むし歯が進行すると痛みが生じ、その影響が歯の内部にある神経まで及ぶ(C3)と、さらに耐えがたい痛みとなり、細菌が全身にまわってしまうこともあります。

むし歯の原因となる細菌は「ミュータンス菌」といって、糖分によって活発に働き歯垢(しこう)を形成します。酸はこの歯垢の中で作られます。「甘いものを食べるとむし歯になる!」と言われるのはそのためです。むし歯を防ぐには、歯垢を取り除いたり、甘いものを控え、きちんと歯を磨くことが大切です。

「だらだら食べ」をしていると、
むし歯になりやすい。

むし歯について「pH」のお話をしましょう。歯についた歯垢のpHは中性ですが、糖分を含むものを食べると酸性に変化します。ただ、唾液などの働きによって次第に中性に戻ります。つまり、間食をしなければ、朝昼晩の食事のときだけ酸性で、それ以外のときは唾液によって歯が守られます。ところが、お菓子や清涼飲料水など甘いものを間食すると、その分、酸性の時間が長くなり、むし歯になりやすくなるのです。例えば、夜甘いものを食べてそのまま寝てしまうと、睡眠中はほとんど唾液が出ないため、ひと晩中、歯垢は酸性のままという恐い状態になってしまいます。そして初期のむし歯を除き、穴のあいたむし歯が自然治癒することはありません。むし歯ができたら早めの治療が何よりも大切です。

歯周病 Periodontal disease

歯周病は、歯を支える歯肉や骨が壊されていく病気です。歯についた歯垢をそのまま放っておくと、歯石(しせき)としてこびりつきます。この歯石は、表面がざらざらしているので、汚れが付着しどんどんたまっていきます。すると歯肉が炎症を起こして、赤く腫れたり、出血したりします。この状態を「歯肉炎」といいます。

歯肉炎を放っておくと、歯周ポケットと呼ばれる溝ができたり、歯を支える骨が溶けてしまったりします。この状態が「歯周病」です。歯周病は口臭の原因となったり、歯肉や骨が壊されて、最後には歯が抜け落ちてしまう恐ろしい病気です。生活習慣病のひとつにも数えられています。

慢性的な歯周病は、
全身の病気にかかるリスクを高める。

歯周病を放置しておくと、全身の病気にかかるリスクが高まることが知られています。歯周病のある場所には細菌や毒素があり、歯肉の毛細血管を通じてそれらが全身に運ばれてしまうのです。心臓血管疾患、脳卒中、糖尿病、気管支炎や肺炎の原因となる可能性もあるので注意が必要です。

歯周病の予防で大事なこと。

歯周病の予防には、まず毎日の歯みがき習慣が欠かせません。歯を磨いて歯についた歯垢を落とし、歯肉をマッサージして血流を促します。鏡で自分の歯を見て、歯と歯のあいだの歯肉が赤く腫れていたり、歯肉から血が出たり、歯が揺れたりするようなら要注意。時間をかけて丁寧に歯みがきをしましょう。

ひとの人生と、歯の関わりに
ついても知っておこう。

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