臨床実習の授業を見学![学生密着レポ]

臨床実習を経験してはじめて知る、
理論と実践の違い。

歯科の学び|2022.01.20

今回から4回にわたって、歯科医師/歯科衛生士の学びの現場を密着レポートいたします。「どんな感じの授業風景なのか」「どんなことを学ぶのか」を知るために、まず今回は、歯学部で学ぶ4年生の臨床実習の場にお邪魔してきました。日本歯科大学新潟生命歯学部4年生の廣安柊さんに、どんなふうに実習に取り組んでいるか、苦手なこと、学生生活のこと、いろいろとお話を聞いてきました。

今日の臨床実習は「部分床義歯補綴学」。模型を使って部分入れ歯を作る課題に取り組みました。

――今日は4年生の廣安さんの実習風景を見学させてもらいました。今回の実習はどんなことをしていたのでしょうか。

廣安さん(以下H):今日は14時から17時半まで「部分床義歯補綴学」の実習でした。部分的に歯が欠損している模型の上で、その欠損している箇所に部分入れ歯を作る、という実習でした。

――赤いロウのようなものを火で溶かしたりして使っていましたが、あれは?

H:あれを溶かして歯ぐきの部分にして、その上に歯を並べるんです。今日は噛み合わせを作って、歯を1本だけ並べることができました。

――上下の歯の噛み合わせがうまくいくように作るのは繊細な作業で大変そうですね。

H:正直、自分はちょっと苦手で……けっこう時間がかかってしまうんです。噛み合わせは細かな調節が大切なんですけど、それがなかなかうまくいかないんですよ。

――薄い紙を何度も挟んでいましたよね。

H:咬合紙という紙で、それを噛ませると色が出るんです。しっかりと噛み合わせができていないと、その色がちゃんとした場所に出ないんです。それがなかなか出なくて……。

――実習はみんな上手にできているものなんですか?

H:先生からきちんと教えてもらって、アドバイスも受けながらやるので、先生の話をちゃんと聞いていればできないということはないです。ただ、早い人と遅い人はいますね。毎回、課題を先生にチェックしてもらわないと次に進めないんですけど、上手な人は技術が優れているだけじゃなくてスピードも早いです。自分は……平均的なくらいだと思います(笑)

――実習風景を見ていると、先生がひとりひとりの席に行って、丁寧にアドバイスをしていました。それぞれの技術や理解度に合わせて教えてくれている感じですか?

H:そうです。実習中はひとりひとりをその場でしっかり見てくださるので、大変勉強になります。

――実習の授業は、座学と比べてどうですか?

H:どちらかというと実習の方が好きですね。実習でやることって、座学ですでに習っていることではあるんです。でも実際に手を動かしてみると、「自分はよくわかっていなかったんだな……」と思うことがよくあります。頭で理解することと、実技ではやっぱり違うと実感しています。

――今の時点では(2021年12月現在)、実習以外の授業はウェブ講義だそうですね。最近はどんなことを学んでいるのでしょうか。

H:今は臨床系の授業を受けています。口腔外科とかは難しいですね。教科書も分厚いし、範囲も広くて。自分、勉強があんまり好きではないんですよ(笑)

――お父様が新潟生命歯学部の先生をされていると聞きました。

H:父がやっている講義がインプラントの授業なんですけど、それを自宅で聞くのがなんだか面白いなって(笑)

――それは確かに、変な感じがしますね(笑)。ウェブ講義は週にどのくらいあるんですか? 一週間のスケジュールを教えてください。

H:月曜と水曜、それと金曜の午後が実習で、それ以外は自宅でウェブ講義です。あとは講義以外に、大学の学習室を利用して3時間勉強しています。

――同期のお友達も一緒に?

H:そうですね。まわりの学生もみんなそうしている人が多いです。勉強でわからないことがあると、わかる人に聞きに行ったりして、助け合って勉強することが多いです。成績優秀な人たちは何でも知っていると思って、どんどん聞きに行きます(笑)

――一緒に学べるっていいですね。日本歯科大学新潟生命歯学部は、同期の仲間や先輩後輩、先生との距離が近い感じがします。

H:オープンキャンパスに来るまでは、他の大学や学部でもいいかなと思ったんです。でもオープンキャンパスに来てみて、先輩たちが優しくて、先生との距離もいい意味でとても近く感じたんですね。それでいいなと思ってこの大学に入りました。コミュニケーションの実習も多くて、元々あまりコミュニケーションは得意じゃなかったんですけど、入学時よりもだいぶよくなったなと感じています。野球部の部活でも先輩と交流したり、楽しくやっています。

――勉強の合間には気分転換も必要かと思いますが、何かやっていることはありますか?

H:スポーツが好きなので、スポーツを見たり、走ったり。「なんかストレスがたまったな……」と思ったら、家の近くの信濃川の河川敷を走ったりしています。

――来年度(5年生)から、いよいよ病院実習が始まります。

H:今までは模型を相手にしていましたけど、今度は実際の患者さんが相手なので少し心配です。例えば模型だったら失敗は許されますけど、患者さんの場合はそうはいかないので。

――こんな歯科医師になりたい、というイメージはありますか?

H:今は高齢化も進んでいますし、時代に応じて、社会のニーズに適応できる歯医者さんになりたいです。世の中に必要とされる歯医者さんになれたらいいなと思います。

――そのために大学でこれから学びたいことは?

H:患者さん相手の仕事は浅い知識じゃダメだと思うので、応用がきく深いところまで、大学でしっかり学べたらいいなと思います。臨床実習をやってみて、授業で習ったことと違う部分を感じられるようになってきたので、理論として学ぶことと、実際の教科書通りじゃない部分と、その両方をしっかりと学びたいです。

――最後に、これから歯科医師を目指そう、歯学部を受験しようと思っている後輩たちにアドバイスがあれば教えてください。

H:歯学部に入学したての人には、先輩や先生と仲良くするのもひとつの勉強だからしっかりとよい関係を築いた方がいいよ、と言いたいですね。あと、これから歯学部を目指す人たちには、自分なりの勉強法やストレス解消法を知っておいたほうがいいよ、ということを伝えたいと思います。

――ありがとうございました。これからの勉強も頑張ってください!