5学年病院実習を見学![学生密着レポ]

様々なことに気を配りながら、
医療現場を体験して学ぶこと。

歯科の学び|2022.02.25

歯科医師/歯科衛生士の学びの現場を密着レポートするこのシリーズ、第3回は歯科治療の現場を体験し実際に治療を行う「病院実習」についてです。「どんなふうに患者さんとコミュニケーションをとるのか」「どんなことを感じ、考えながら取り組んでいるのか」、日本歯科大学新潟生命歯学部5年生の新妻智憲さんにご協力いただき、病院実習のこと、学生生活のこと、いろいろとお話を聞いてきました。

病院実習は、「理論と実践」「実習と臨床」その違いを実感できる貴重な機会。

――今日は5年生の新妻さんの病院実習の様子を拝見しました。病院実習は何学年から始まるのでしょうか。

新妻さん(以下N):5学年の4月からです。まず前年の5年生からの引き継ぎをして、それからおよそ1年間かけて病院実習が行われます。12月までは毎日、病院に通い続けます。

――相手は実際の患者さん。やはり最初は緊張しますか?

N:初めて実際に治療の手伝いをしたときは、銀歯を入れるために患者さんの歯のかたちを整えていくという作業だったんですけど、緊張で患者さんとうまく話せませんでしたね……。歯科医師の先生や衛生士さんとの会話は大丈夫なんですけど、やっぱり患者さんとのコミュニケーションには気を遣います。病状やその治療法は患者さんによって様々なので、いつもいろんなところに目を配っていなければなりません。なので今も常に緊張しています。

――大学の実習室での実習と、病院での実習、違いを感じる部分を教えてください。

N:「理論と実践」という意味でも乖離はありますし、「実習と臨床」という点でも違いがあります。その違いを学ぶのがこの実習だと思って登院しました。患者さんによっては、本来やるべき治療があっても、それが現実的にできないことも少なくないです。実際の治療現場でその都度、考えて、先生と話し合いをして、患者さんへの治療計画を変更したり、そのディスカッションに参加できたのは、とても意義のあることだと思っています。

――最近の病院実習ではどんなことを重点的にやっていますか?

N:今は、担当させていただいている患者さんの入れ歯を作る治療を重点的にやっています。「オーダーメイド医療」といわれているように、病状も状態も患者さんによって様々なので、治療方法も接し方もひとりひとり変わってきます。

――指導員の先生から指摘を受けることもありますか?

N:そうですね。やっぱり手を動かすことがメインになってくるので、そのために必要な知識についてはもちろんですけど、姿勢などもだいぶ指摘を受けました。

――褒められることもありますか? 先生は厳しい? 優しい?

N:ひとつひとつの動作を正確にできたり、正しくできたりしたときは褒められましたね。先生はときに厳しく、ときに優しく(笑)。できるだけ、指導員の先生の手つきや見方をしっかり見て学ぶようにしています。診断であればその根拠に納得できるか、技術であれば手の置き方ひとつ、細かく見ていけたらと思っています。

――指導してくれる先生のレベルに自分が追いつくには、どのくらいかかりそうですか?

N:最低でも10年はかかるんじゃないかと思っています。

――病院実習では各科をローテーションしてまわると聞きましたが、印象に残っている科はありますか?

N:「総合診療科」という科があり、むし歯の治療、歯周病、歯の根っこの神経の治療など、一般的に周知されている「歯医者さん」の治療を行うのですが、僕はもともとそこに魅力を感じていたので、総合診療科がいちばん楽しかったです。

――そもそも、新妻さんが歯科医師を目指した理由は?

N:父が歯科医師で、その姿を見て育ったんですけど、僕は最初は歯科医師になろうとは思っていなかったんです。でもやっぱり高校三年生で進路をどうしようかと考えたときに、歯学部がその候補のひとつになりました。

――新妻さんは群馬県からこちらへ。この大学を選んだのは何か理由はあったのでしょうか。

N:群馬県には歯学部がないんです。それと、補綴(ほてつ)科に小出先生という方がいらっしゃって、その先生の教えを受けたくて入学しました。

――いよいよあと1年ですが、ここまでの5年間の学校生活は楽しかったですか?

N:入学前に想像していたよりも楽しかったです(笑)。新型コロナの影響で多少勉強に支障は出ましたが、同期の仲間とも仲良くできましたし、部活動で所属していた陸上部も楽しかったです。

――6年生になると国家試験の勉強がメインになってくると思います。自信はありますか?

N:みんなが通る道なので、やるしかないと思っています。

――何か勉強の息抜きで楽しんでいることはありますか?

N:映画が大好きなので、よく近所の映画館に見に行ったりしていますね。

――新妻さんは近い将来、どんな歯科医師になりたいと考えていますか?

N:「あの先生のところに行けば、たいていのことはなんとかしてくれる」そう患者さんに思ってもらえるオールラウンダーな歯科医師になりたいです。国家資格を取得してからしばらくは研鑽を積んで、30歳を過ぎる頃には地元に戻るようなイメージを描いています。

――今日はありがとうございました。国家試験、頑張ってください!