病院実習を見学![短大生密着レポ]
スムーズな処置と情報共有が大切!
患者さんに安心してもらえるように。
歯科医師/歯科衛生士の学びの現場をお伝えする密着レポートの第4回。今回は日本歯科大学新潟短期大学歯科衛生学科2年生の川瀬舞衣さんに、病院実習の様子を見学させてもらいました。歯科衛生士になるために、病院の実際の医療現場でどんなことを学んでいるのか、詳しく聞いてきましたよ。
歯科医師や患者さんによって異なる処置に、しっかりとついていきたい。
――今日は歯科短大生の「病院実習」についてお聞きします。まず、病院実習というのはどんなことをするのでしょうか。
川瀬さん(以下K):基本的には歯科医師が行う処置のアシスト(診療の補助)をしています。歯科医師が使う道具の準備や整理をしたり、処置しやすいようにライトを当てたり、セメントを練ったり、患者さんの唾を吸引したりしています。
――いつ頃からはじまるんですか?
K:2年生の10月からスタートします。3年生の9月まで約1年間かけて病院に通います。今は月、火、木、金とやっていますね。
――じゃあ毎日、実際の治療現場にいるわけですね。実際にはじまった当初はどうでしたか?
K:いちばん最初にオリエンテーションを1日やって、そのあとは今と同じように歯科医師のアシスタントについたんですけど、やっぱり最初は緊張しました。
――現場での難しさは感じますか?
K:どんな処置をするのかは、実際その場にならないと分からないんです。そのときの先生や患者さんによって処置の仕方も変わってくるので、それに合わせた動きでついていくのがすごく難しいですね。
――その中で自分なりの工夫とか、考えていることがあったら教えてください。
K:処置がスムーズに進めば、患者さんにとっても楽なんです。ただ歯科医師がやっていることについていくというより、次の動作や術式を考えながら、受け身にならずに私たちが行動すると、それがスムーズな処置につながると思うんです。でも、実際にやるのは難しいです。
――歯科医師ごとに、やり方がそれぞれ変わったりもするわけですね。
K:そうですね、歯科医師によって、例えば「この先生はこの器具をよく使う」とかあるので、すぐに準備できるようにしていますし、自分が経験してわかったことを同期の仲間に伝えてみんなで情報共有していくことも大切です。
――病院での実習と、それまでやってきた短大の実習室での実習でどんな違いを感じていますか?
K:歯科医師がどんな目的で処置をしているかとか、患者さんにどういう対応をするのかとか、そういうのはマネキンを使ってやっているよりも、実際に患者さんに接してよく理解できますね。
――患者さんとお話することもあるんですか?
K:患者さんから話しかけられたときにお話したりします。1年生のときに「コミュニケーション」という授業があって、そこで敬語とか言葉づかいを学んだりするんですけど、あとはもう実践の場で学んでいく感じですね。
――病院実習はローテーションでいろいろな科を回るそうですが、これまでどんな科を経験しましたか?
K:私は今、3階総合診療科というところにいるんですけど、まだひとつの科しか経験していなくて……。
――あ、そうでしたか。川瀬さんが特に経験してみたいところはありますか?
K:訪問歯科に行ってみたいです。訪問歯科というのは、お年寄りや身体が不自由な方、障害のある方のところへ処置をしに行く科なんですけど、そういった方々も普通に歯科に通院される方と同じように口腔内が健康じゃないと、食事をしても食べにくかったり、上手に食べられなかったり、美味しいものも美味しく感じられなかったりするんですね。私、食べるのが好きなので……。たくさんの人の「食べる」ことを改善できたらなって思っています。
――ところで、川瀬さんが歯科衛生士になりたいと思ったのはなぜですか?
K:もともと看護師に憧れを持っていて、医療系の職種を目指そうと思っていたんです。高校で医療専攻っていうのがあって、そこで調べていくうちに歯科衛生士のこともいろいろと知って。実は私の姉も歯科系の学校に通っているんです。ただ、決めるのが遅くて、高校3年生の夏くらいでした。それでオープンキャンパスには参加できなかったんですけど、自分からお願いして校内を見学させてもらいました。
――入学してみて、どうでしたか?
K:最初の頃はオンライン授業が主体で、あまり学校に来ることができなかったんです。でも実習がはじまってからは同期の他の子たちとも仲良くなって、先生も優しいですし、1年生の終わりくらいからどんどん楽しくなりました。
――好きな授業はありますか?
K:「医療事務」の授業は資格を取るための授業なので選択しない人もいるんですけど、私は今やっている実習の話も出たりして、歯科に関するいろんなことの理解が深まるので、いつも楽しみです。
――これから入学する人たちに、アドバイスしたいことはありますか?
K:1年生の最初の頃の座学は、歯のことだけじゃなくて全身のことについても学ぶんです。はじめのうちは「何でこんなこと勉強しているんだろう?」ってなるかもしれませんけど、歯のことを深く知っていくと、口腔内と全身のつながりとか、辻褄が合う瞬間が訪れるので、それからぐんと楽しくなっていくと思います。
――最後に、川瀬さんはどんな歯科衛生士になりたいか教えてください。
K:患者さんに安心感を与えられるような歯科衛生士になりたいと思っています。話し方ひとつとっても、患者さんが処置を受ける上で、怖いと思われないように。「この人は安心できるな」と思ってもらえるような衛生士になりたいです。
――今日はありがとうございました。