プロが教える歯間清掃用具・補助用具

歯みがきの強い味方!
フロスや歯間ブラシを知ろう。

歯科の学び|2023.04.28

皆さんもご存じのとおり、食べかすや歯垢(プラーク)は、虫歯や歯周病の原因となります。それを予防するために歯みがきをするわけですが、しかし、ただ歯ブラシでブラッシングしただけでは、歯と歯の間は十分みがけないことがあり、歯垢や食べかすが残ってしまいます。また、歯垢が歯石になってしまうと歯科医院でないと除去できません。そのため、毎日の歯みがきで歯垢を徹底的に除去する必要があります。

特に歯垢が付きやすい場所としては、①歯と歯の間、②歯と歯肉の境目、③歯並びの悪い場所(歯と歯の重なる部分)になります。これらの場所にはハブラシの毛先が届きにくいため、ただみがくだけではきれいになりません。そこで、ハブラシ以外にも、補助用具としてデンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシなどを一緒に使って、ハブラシでは届かない歯の側面についた歯垢や、歯と歯の間に入りこんだ食べかすを取り除くことが大切です。

今回はこれら補助用具の使い方についてまとめてみました!

歯と歯の間のせまい部分に!
『デンタルフロス』

デンタルフロスはハブラシとは異なり形が糸状なので、歯と歯の間が狭い部分の清掃に適しています。歯と歯が接している部分は誰にでもあるので、デンタルフロスは子どもから大人まで使うことができます。また歯並びは皆さん夫々ですから歯と歯が重なる部分にみがき残しが無いようにしましょう。フロスにはいくつかのタイプがありますので、特徴をよく知って選択することが必要です。

①ロールタイプ(ワックスとノンワックス)フロス
使う分だけ糸(フロス)を出し自分の指に糸を巻いて使用するタイプです。使う分だけ出して使うため経済的ですが、慣れるまで少し時間がかかります。ワックスタイプは歯の間に挿入しやすく、フロスはほつれにくいです。ノンワックスタイプは、歯面に通した際に糸の繊維が広がりやすく、歯垢を取り除く力が高いです。

②ホルダー付き(F字型・Y字型)フロス
形状からF字は前歯部に、Y字は奥歯に適しています。これらはホルダーに糸が取り付けられており、比較的使いやすいタイプ。ただし使い捨てが多いため、経済的に劣ります。

フロスの注意点
※無理に歯と歯の間に挿入したり、取り出すと歯の詰め物や被せ物が取れてしまう場合がありますので、無理に挿入しない。
※子供のフロス使用も虫歯予防には重要ですが、一人では難しいので保護者の方が仕上げ磨きと一緒に行ってください。
※糸が切れたりほつれる場合は、詰め物が合わなくなっていたり、歯石が付いていたり、虫歯になっている可能性もありますので、歯科医師に相談してください。

 

歯と歯の隙間が広い部分に!
『歯間ブラシ』

歯と歯の隙間が広い部分に適しています。使用するときには、自分の歯の隙間にあった大きさの歯間ブラシを選ぶことが大切です。歯と歯の隙間が広い部分には、デンタルフロスよりも歯間ブラシがおすすめです。

奥歯に届きやすい!
『タフトブラシ』

歯ブラシよりも小さめのブラシで、毛の本数はハブラシより少ないタイプです。普通の歯ブラシは、ハブラシの頭(ヘッド)の部分が大きいので、奥歯をみがこうとしても当てたい部分にハブラシが入らないことが多いです。タフトブラシは頭の部分が小さく、奥歯に届きやすいので、無理せず歯みがきを行うことができます。一番奥の歯の裏側や親知らずは、普通のハブラシでは毛先が十分に届かず虫歯の発生原因となるので、タフトブラシがおすすめです。

 

歯と歯の間の歯垢の除去率は、歯ブラシだけでは58%、デンタルフロスを一緒に使えば86%、歯間ブラシを一緒に使えば95%になった、という報告(下図)もあります。また、歯垢は水に溶けないので洗口剤では取れず、薬剤も浸透しません。歯ブラシや補助用具によって物理的に除去するしかありません。補助用具は上手に選択、上手に使い、きれいで健康な歯と歯茎を保ちましょう!